僕等のエデン
おかしい…何かがおかしい!!
そう思ったのは実は同棲前からなんだけど、実際一緒に住み始めてそのおかしさは拍車を掛けておかしかった。
以前の同居人である豆柴のご飯はたんまりあって、いつでも食べられるようにと考えられていたのにどうして?
どうして滝沢くん自身の食料は冷蔵庫に入っていないの…!?
冷蔵庫を開けると詰まりに詰まっているのはミネラルウォーターばかり
思わず、ソファーで寝転がっている滝沢くんに視線を向ける
まさか水だけで生きてるって事は無いよね…?健康体だし、意外と身体もがっしりしていて逞しい
病気とか不健康とはどこか無縁だと思わせる印象だし…何かしら食べているんだろうけど…それにしたって何を食べているのかわからないくらい冷蔵庫の中は綺麗に…水。

冷蔵庫を閉めて滝沢くんのいるソファーに向うと、雑誌を読んでいた滝沢くんの視線が私を見る
読みかけだった筈なのにパタリと雑誌を閉じて机に放り投げられる雑誌に…その、少し嬉しかったり
滝沢くんにとって私は雑誌よりも優先順位は高いらしい
(自惚れかな…でも、自惚れても良いくらい思って貰えている、はず)

「冷蔵庫の用事は済んだ?咲」
「…みっ見てたの!?」
「見てたけど、駄目だった?」

――恥ずかしいっなんか恥ずかしい!
ただ冷蔵庫の中を見ていただけだけど何か、この見られていた感が堪らなく恥ずかしい!

「声、掛けてくれれば良かったのに」
「だって咲が冷蔵庫と睨めっこ状態なの、なぁんか可愛くてさ」
「かっかわ!?」

言われ慣れない単語に一気に顔が熱くなっていく
滝沢くんはニコニコ笑いながら、立ちつくす私を引き寄せて自分の足の間に私を座らせて後ろから抱き締めてくる
首元に擦り寄って、おなかに周っている腕に力を込めて来る滝沢くんに、私は益々恥ずかしくてなって「あ」やら、「う」やら言葉にならない声を漏らす
その度に滝沢くんは楽しそうに、おかしそうに笑うから私は少しだけ悔しくなってしまう
私ばっかり恥ずかしくて、私ばっかり…嬉しくて

「咲、身体熱いね」
「―っ!!夏だから!」

………我ながらなんて下手くそな言い訳なんだろうと呆れてしまうけど、滝沢くんは私の肩に顎を乗せて「そっか」と呟く
柔らかい声色に少しだけ振り向いて見る
頬に触れる滝沢くんの頬も熱を持っていて、私は瞬きを数度繰り返してから笑った
なんだかんだで滝沢くんも照れているんだよね?

「……滝沢くん」
「ん?なに、さ――」

ちゅっ
微かにリップ音を立てて、すぐ傍まできていた唇にキスをしてみる
今、自分からしたことだけど…極限値まで恥ずかしさが這い上がってくる…今なら私爆発できるんじゃないかとさえ思えてしまう
ちらりと彼を盗み見るように視線を向けると滝沢くんは私以上に顔が赤くなって、驚いて固まってしまっている
してやったり!な気分、なんて言ったら怒るかな?
だけれど、やっぱり私の方が居た堪れない気持ちになって、顔を前に向けてわざとらしくない様に口を開く

「そういえば、ご飯の材料無いから買いに行こう!」
「あ、ああ…うん、そうだね」
「「………」」

行こうと言ったのはいいけど、なぜだかどうして離れ難い
多分この気持ちは滝沢くんも一緒で、おなかに周ったままの腕から力が抜ける事は無い
寧ろさっきよりも強くなっている気がする
私はちらりと滝沢くんに視線を向けると、滝沢くんも様子を窺うように私を見ていてバチリと視線がぶつかった
暫く見つめ合っていたけど、どちらからと無く笑ってしまい私はそのまま滝沢くんの頭に頭を寄せる
あともう少し、もう少しこのままでいたいと思ったから。


Sweet?

(…出前とろうか…)
(滝沢くん、もしかしていつもそうだったりする?)
(そうでもないよ、多分)

End
◇ Data memo ( 作者:裡緒 )
時期:劇場版U/After/滝沢帰還後/同棲初日
糖度:甘いんでないかと思います。
設定:買い出し前のイチャラブ。
補足:前回に引き続き夏。

『 Sweet? 』   2010.04.23.

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